おすすめ情報

2021/03/02 伝承館展示室B一部リニューアルについて開催日2021年3月2日(火)~

気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館は、東北大学災害科学国際研究所が東日本大震災における階上地区の津波流況と住民避難行動をCGや証言をもとに再現し、当時の実態とそれにもとづく教訓を伝える展示を展示室Bに設置します。

【概要】
東日本大震災 気仙沼 階上のあの日
~新設展示:東日本大震災における階上地区の津波流況と住民避難行動の再現~

【設置場所】伝承館 展示室B

【展示特徴】
■官民学連携での共同制作
気仙沼市と東北大学災害科学国際研究所では、2013年7月に包括的連携協定を締結しており、気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館のオープン以来(2019年3月)、同所のサテライトオフィスである東北大学災害科学国際研究所気仙沼分室が同館内に設置されています。この度の展示は、以上の包括的連携協定にもとづいて製作したものになります。後述しますように地域住民からも多大なる協力をいただいており、官民学連携の共同で製作した展示になっております。

■学術的研究にもとづいた展示
津波流況シミュレーションは、東北大学津波シミュレーションモデルTUNAMI-N2を用いた計算結果によって、浸水・遡上の過程をCGで再現しています。住民の避難行動は、階上地区の被災者35名の方を対象に、東北大学で開発した津波避難行動詳細インタビューを用いて移動経路だけでなく行動中のお考え(動機)を把握・分析した結果にもとづいて再現しています。分析の結果、当時階上地区では3つの避難行動パターン(A:すぐに内陸・高台へ移動、B:地震後に海側へ移動、C:沿岸部の自宅周辺の滞在)があったことが分かり、そのことをディスプレイ映像内で紹介しています。

■生の声(証言)で紹介
前述した3つの避難行動パターンごとにお一人ずつ別途インタビューを行い、当時のお考えについて証言をいただくとともに、実際の場所での行動について詳しいお話を伺いました。当時の状況について3名の生の声をもとにディスプレイ映像内で紹介しています。

■模型へのプロジェクションマッピング
階上地区の立体模型を制作し、そこに津波流況や住民避難行動のCGを投影することで、当時の状況を俯瞰できるように展示しています。プロジェクションマッピングによって、標高との津波浸水の関係や階上地区全体の状況を分かりやすく表現しています。

【解析・調査データ】
■津波流況シミュレーション
東北大学津波シミュレーションモデル TUNAMI-N2
計算モデル:浅水理論
格子サイズ:2~5m
粗度:一定
初期潮位:実観測値
実績浸水範囲と一致での精度検証

■住民避難行動
新家杏奈、佐藤翔輔、今村文彦(2020):思考変化と移動経路を組み合わせた津波避難行動過程の分析:東日本大震災発生時の気仙沼市階上地区の事例、地域安全学会論文集No.37,pp.339-349(2020年度地域安全学会論文奨励賞受賞論文)2019年6月~2019年9月に52名の方にインタビュー調査を実施。うち発災から当日の午後4時までに階上地区内にいた住民35名の記録を分析・可視化。
避難行動の経路を地図をもとに把握するとともに、行動だけでなく入手した情報やそのとき考えていたこと(思考)を詳細に聞き取り(発話記録)。
発話記録に対して、各行動の意図を表す「最強動機」と呼ぶラベルを付与し、経路と思考の変化を同期的に分析・可視化。